浴室乾燥機(DBD-28KSA)を修理した話

新築から20年くらい経って、浴室乾燥機のリモコンのボタンを押しても反応しなくなってしまいました。症状のはじめの頃は、リモコンが無反応になっても1~数日経つといつの間にか復帰していることが何度もありました。

給湯器を新品に交換してからも症状は変わらなかったため、給湯器との関連性はないと判断。そして、ついにリモコンが反応しなくなってから数日経っても復帰しない状態になってしまいました。

リモコンの写真(復旧後に撮影)

浴室乾燥機はあまり使用していなかったのですが、たまに衣類の乾燥に使えるのが便利でした。また、浴室の換気はリモコンが使えないとトイレの換気扇スイッチを入れておかなければならないため、使えないのは不便となっていました。浴室乾燥機自体は、さほど使っていないのに新たに出費して入れ替えるのはもったいないと思い、ダメ元で修理を試みました。というのも、20年もしたら経年劣化する部品に心当たりがあったからです。

機種情報:三洋電機(SANYO)DBD-28KSA

三洋電機はだいぶ前につぶれて、現在はパナソニックの子会社となっています。充電電池で有名なeneloopも元は三洋電機の製品でしたが、現在はパナソニックから出ています。浴室乾燥機のこの機種に関する情報がないか調べたのですが、20年も経っているため情報は皆無という状況でした。そのため、手探りで修理を試みることになりました。

劣化する部品

20年もすると経年劣化する部品に心当たりがありました。その部品は「電解コンデンサ」です。電解コンデンサの内部には電解液が入っており、10~15年くらいすると電解液が蒸発してしまって機能しなくなります。家電の寿命が10年くらいと言われているのもこの電解コンデンサの寿命が影響していることが多いと思われます。

電解コンデンサについては次の動画がとても参考になります。

イチケン/電解コンデンサ

リモコンを分解

リモコンの分解は簡単でした。下部のネジ1本を外すと壁からリモコンを外せます。リモコンのガワに留まっているネジを5本ほど外し、付いているケーブルを外すことでリモコンの基板を取り出せます。

リモコン基板

電解コンデンサは円筒型の黒い部品です。左側にふたつ、中心より少し右の下部にひとつ、計3つの電解コンデンサが使われていることが確認できます。

使われていた電解コンデンサは東信工業の以下のものでした。

  • 25V 220μF 85℃ × 2つ
  • 50V 4.7μF 85℃

今回は共立エレショップにて電解コンデンサを注文しました。使われていたものと同等品のニチコンVRシリーズ、85℃2000時間の標準品を選びました。ハンダ吸取線は持っているものがまだあったのでそれを利用します。

電解コンデンサの交換については以下も参考にしてみてください。

電解コンデンサの交換方法

リモコンが反応しないという症状だったため、まずはリモコンの電解コンデンサをすべて交換してみました。電解コンデンサには極性があり、白い帯が入っている側がマイナスです。基板にもプラスマイナスが印字されていますが、写真に撮っておいてプラスマイナスを間違えないように交換していきます。

交換が終わったら、壁から出ていたケーブルに接続して動作確認をします。しかし、これだけでは改善しませんでした。次に本体をバラしていきます。

本体をバラしてみる

浴室の天井に付いている本体をバラしてみます。

まずフィルターの部分を外します。

四隅にあるネジを外して、カバーを外します。

横に細長い金属のカバーを外していきます。

ネジを外すと下に開きます。

なんと、この金属のカバーの裏面にビニール袋に入った資料が貼り付けられていました。(資料はA3サイズでしたが、A4サイズのスキャナしか持っていなかったので、画像の接合が若干失敗してしまいました)

金属カバーは反対側にスライドさせると外れます。すると、たくさんのケーブルがあるところにアクセスできるようになります。ケーブルが何本もつながっているところの下面の黒い板面にネジが2本見えるので、これを外します。

フックからケーブルを外して、ネジの留まっていた黒い板ごと下におろします。すると、メイン基板が見えてきました。

配線を忘れないようにしっかり写真を撮ってから、配線を外します。緑のアース線はつながっている先のネジを外しておきます。(100Vの電気が通っている箇所があるので注意して作業しました)

これでメイン基板を取り出すことができました。

メイン基板

メイン基板はプニプニの樹脂で埋められており防水加工が施されていました。5つの電解コンデンサが実装されているのが見えます。

メイン基板の電解コンデンサを交換

使われている電解コンデンサのスペックを確認し、発注しておきます。

  • 25V 1000μF 85℃
  • 50V 4.7μF 85℃
  • 50V 10μF 85℃ ×3つ

さて、樹脂で埋められている状態でどうしたら電解コンデンサの交換ができるか、とりあえず調べてみると某知恵袋に引き抜くと足だけ残るのでそこに接続すればよいという情報がありました。やってみたところ…全然ダメでした。片足だけ残るもの、両足ごと取れてしまうものがあり、成功率ゼロパーセント。

こうなると基板の裏側にアクセスできるようにしなければなりません。

メイン基板は黒いプラスチックの容器に樹脂で沈められており、ぴったり隙間なく収まっていて簡単には取り出せそうにありませんでした。色々試行錯誤した後、基板上部側の黒いプラスチックの壁を糸ノコで切り離してみることに。

基板の裏面も隙間なく樹脂が入っていました。なんとかできないか触っていると、おっ!

黒い枠から樹脂ごと引き剥がすことができそうです。(基板にはネジがひとつ付いているので取り外すことを忘れずに)
そのままキレイに剥がすことができました。(カッターで切り出そうとかしたので、縁がだいぶボロボロしてますが)

基板の裏面を見てみると、黒く変色しているところがありました。おそらく熱を持って変色したのではないかと思われます。

裏面の電解コンデンサの交換に必要な部分の樹脂を剥がします。プニプニの樹脂は指だけで剥がすことができました。全体を剥がす必要はありません。(写真を取り忘れました)

ハンダを盛ってからハンダ吸取線でハンダを取り除き電解コンデンサが取り付けられるようにします。表面の樹脂は剥がさずにそのままでいけました。

電解コンデンサの極性は間違えないように取り付けます。事前に撮影した写真を見て向きを確認します。

私は特に防水加工をしなおすことはしませんでした。電解コンデンサ取り付け後はそのまま黒い容器にメイン基板を戻してネジ止めして、電解コンデンサの交換作業は終了です。

取り外しと逆の手順で取り付けして、いざリモコンのボタンを押すと…反応あり!一発で直すことができました。

交換した部品

電解コンデンサ

  • 25V 220μF 85℃ ×2つ
  • 25V 1000μF 85℃ ×1つ
  • 50V 4.7μF 85℃ ×2つ
  • 50V 10μF 85℃ ×3つ

こて先を新調したりしましたが、それでも送料込みで1000円程度で修理することができました。

経年劣化による故障の場合は電解コンデンサの交換をやってみるのは有効だと実際に分かりました。(今回は他の箇所の故障がなかったためであり、すべての経年劣化に対応できるわけではありません)部品代は非常に安いので、ダメ元でやってみる価値はあると思います。

最後に、このネタが5年10年早く出せていたら、救える浴室乾燥機は多数あったのではないかと悔やみます。おそらく20年前の浴室乾燥機の大部分はすでに新品に交換済みだと思いますが、経年劣化は救える余地があることが伝われば幸いです。